もくじ
なぜ公務員の職場では「働き方改革」が進みにくいのか
「民間企業ではテレワークやフレックスが当たり前になってきたのに、自分の職場ではむしろ仕事が増えた・・・」
そんな声を多くの公務員が上げています。
政府主導で「働き方改革」が叫ばれるようになってから数年が経ちました。
確かに民間企業では生産性向上や業務効率化のため、IT導入やリモートワークの整備が進みました。
しかし自治体や官公庁といった公務員の現場では、「改革」が思うように浸透していないのが実情です。
特に地方自治体では、次のような状況が依然として多く見られます。
- 紙文化・ハンコ文化が残っていて、申請業務がアナログ
- 電話や窓口対応が多く、定型業務に追われる
- 担当者の属人化が強く、マニュアル化されていない
- 組織内に「昔からこうだから」という固定観念が強い
- 人手不足で業務を分担できない
さらに住民の要望は多様化・複雑化し、「少ない人数で以前よりも多くの仕事をこなす」ことが求められています。
人員が増えない中、残業時間を削減するとなれば、どこかに無理が生じるのは当然の話です。
「改革が進まない」職場で悩むあなたへ
「働き方改革」という言葉がかえってプレッシャーになっている方もいるのではないでしょうか。
「残業するなと言われるけど、仕事は減らない」
「定時で帰れるように努力しても、帰った後に他の人にしわ寄せが行っている」
「改革を進めたいけど、上司の理解が得られない」
「何度か提案しても“忙しい時期だから”と流されてしまう」
これらは決して“甘え”でも“努力不足”でもありません。
むしろ、あなたが本気で職場をよくしたいと考えている証です。
だからこそ、うまくいかない現実に歯がゆさを感じ、孤独を感じてしまう。
「改革なんて、できるわけがない」と諦めてしまう前に、まずはその葛藤に向き合うあなた自身を誇ってください。
実際、働き方改革の障害になっているのは、“職員のやる気”ではなく、“組織の仕組み”そのものなのです。
現実を変えるためにできる「小さな一歩」
働き方改革がすぐに進まないのは事実です。
しかし、それでも「自分たちでできること」は存在します。
ポイントは、「完璧な改革」を目指すのではなく、「小さな改善を積み重ねる」ことです。
以下に、現実的なアクションプランを挙げていきます。
①：まずは自分の仕事を「見える化」する
自分やチームの仕事量が把握できていないと、業務の無駄も見えてきません。
まずは1週間分、細かく「何の業務に何時間使ったか」を記録してみましょう。
これは単なる自己管理ではなく、「業務の棚卸し」にもなります。
次のような気づきが生まれるかもしれません。
- 毎日発生している“習慣業務”が、実は不要では？
- 書類を探す時間が多すぎる。ファイル整理の改善が必要では？
- 同じような問い合わせに個別対応していて、全体として非効率では？
まずは「今ある業務」を正確に把握し、それをチームで共有することが改革の第一歩になります。
②：小さな効率化の積み重ねを習慣にする
- Excelの関数で集計作業を自動化する
- チャットツール（LINE WORKSやSlack）で職場内連絡を効率化
- 汎用テンプレートを作り、同じ文章の作成時間を短縮
- 「問い合わせマニュアル」を整備して、属人化を減らす
これらの工夫は組織全体の大改革ではありませんが、「日々の1時間」を生み出す武器になります。
誰もが手軽に取り組める点も魅力です。
効率化に成功した事例が出れば、それを庁内で共有することで「ちょっとした成功体験ーが波及します。
周囲を巻き込むには「数字」や「効果」を見せるのが効果的です。
③：「改革したい」という思いを孤立させない
同じように悩んでいる仲間は必ずいます。
一人で抱え込まず、職場内で近しい考えの人とチームを作るのも一つの手です。
- 小さな改善提案を出すための“非公式勉強会”を開く
- 昼休みに「業務改善アイデア」をシェアする時間を設ける
- 他自治体の取り組みを調べて、良い事例をまとめて紹介する
こうした動きはすぐに制度化されなくても、やがて「提案文化」「前向きな空気」を職場に生み出します。
孤軍奮闘ではなく、共闘する仲間を持つことが改革の原動力になります。
④：上司・管理職に対して「巻き込む技術」を身につける
上司の理解が得られないとき、「業務削減のメリット」を数字で伝えると、話が進みやすくなります。
たとえば…
- このテンプレート導入で、月●時間の削減が可能
- マニュアル整備で新人教育時間を▲％カットできる
- 電子決裁導入で、決裁処理が平均2日早くなる
改革の目的が「楽をしたい」ではなく、「住民サービスの質を保つため」と示せれば理解も得やすくなります。
また、管理職も本音では「働き方改革を進めたいけど、きっかけがない」と思っている場合も少なくありません。
あなたのアクションが、上司の背中を押すことになる可能性もあるのです。
「小さな進化」が、やがて「文化」になる
公務員の職場で働き方改革が進まないのは、あなたのせいではありません。
組織的な課題が積み重なった構造的な問題です。
だからこそ、「いきなり大きく変えようとしなくていい」のです。
今日、自分のデスク周りだけでも変えてみる。
明日、1件の業務をテンプレート化してみる。
それだけでも確実に前へ進んでいます。
働き方改革とは、効率化のためだけの言葉ではありません。
それはあなたがもっと心穏やかに、誇りを持って働くための手段です。
誰かが変えてくれるのを待つのではなく、あなた自身が「最初の小さな火種」になってください。
きっとその火は職場の誰かに届き、次の動きを生み出すはずです。
あなたの挑戦を、心から応援しています。
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