公務員、特に市町村役場を目指しているあなたは、どこの自治体に行きたいか決まっていますか?
「警察官になりたい」といった人は明確な目標があるので悩むことはあまりないと思います。
しかし、市役所志望の人はどの自治体を選んだらいいのか悩んでしまいますよね。
地元?都会?それとも田舎?
どこに行くのがいいのか考えれば考えるほど、分からなくなってしまうと思います。
本文では、
自治体を選ぶ際に必ず抑えておきたいポイント
について解説しています。
「公務員になんてなるんじゃなかった」と後から後悔する前に、ぜひ本記事を最後までご覧になってください。
ここで説明するポイントを参考にしながら自治体を探すことで、最適な選択ができるようになります。
もくじ
地元という理由だけで小さな自治体を選んではいけない
公務員になりたい人の多くの志望動機として、「転勤がないから」が挙げられると思います。
地元の自治体なら実家から近いし、通勤時間もかからず1番良い就職先のような気がする、という人も多いのではないでしょうか。
しかし「家から近い」「地元だから」といった理由だけで志望先を決めてはいけません。
地元で働きたいという気持ちは分かりますが、地元という理由だけで小さな自治体に入ることはおすすめしません。
実際に私も、地元の市は人口10万人以上いるもののそこまで大きな自治体ではないため、住んでいる都道府県の政令指定都市の役所を受けて入庁することにしました。
小さな自治体に就職しない方がいい理由がいくつかあるのですが、それについては次の章で説明していきますね。
小さな自治体で働くのをおすすめしない5つの理由
①:小さな自治体は給料が少ない
あなたが公務員試験を受ける前に、以下のことを最低限調べておきましょう。
- その自治体の人口がどのくらいか
- その自治体に税金を落としている大きな企業があるか
例外もあるかもしれせんが、基本的に人口が多く、大企業がある自治体というのはそれだけ税収も多いため、市の財政が健全である可能性が高いんです。
また、市役所などで働く公務員の給料というのは都会の自治体の方が給料が高いんです。
というのも、公務員というのは「基本給」に加え「地域手当」を合算したものが基本的な給料となっています。
この聞きなれない地域手当について簡単に説明すると、公務員の給料は民間の平均とある程度同じくらいになるように設定されています。
民間企業というのは都会にある大企業の方が、田舎にある中小企業よりも給料が多いのは当然ですよね?
なので、都会や大企業がある政令指定都市などは民間企業との給料差を是正するために「地域手当」というものが支給されるんです。
この地域手当というのは、特別区が全自治体の中で最高である、給料の15%分が支給されています。
一方、田舎や人口が少ない小さな自治体というのは地域手当がゼロの所がほとんどなんです。
ということは新卒の公務員の基本給が15万円だった場合、特別区で働く人は15万円+22500円(地域手当)が最低限もらえる給料なので、地域手当がゼロの小さな自治体で働く職員よりも無条件で22500円の給料差があるんです。
そして、この地域手当というのはボーナスにおいても関わってくるので、小さな自治体と大規模な自治体の職員の年収を比べると、かなり開きが出てくることが分かると思います。
②:小さな自治体は職員の数が少ないので休みにくい
あなたが選ぼうとしている自治体はどれくらい職員の数がいるのかも調べておきましょう。
公務員を目指している時って、「公務員になれるならどこでもいい」と考えてしまいがちですが、それは大きな間違いです。
職員の人数が少ないとどういった弊害があるかと言いますと、簡単にいうと有給が使えない、もしくは使いにくい環境にあります。
田舎の役場というのは当然ながら職員の数が少ないですよね。
ということは、自分が休むとその仕事がストップしてしまうので、余程の理由(風邪や冠婚葬祭)がない限りは仕事を休みにくい傾向にあります。
「公務員になったら有給休暇取れると思ってたのに、これでは民間企業と変わらないじゃないか!」なんてことになるのは、実は田舎の自治体あるあるなんです。
一方、私が働いている某政令指定都市は職員の数は1万人を超えます。
ここだけの話、部署においても余剰人員じゃないかと思うくらい職員がダブついているので、私1人いつ休もうと全く体制に影響がありません。
(※部署によっては激務な所もあります)
つまり自分の代わりなんていくらでもいるんです。
なので、公務員になったからには有給を自由に使いたい!という思いがある人は、小さな自治体へ入ることはおすすめしません。
③:小さな自治体は財源がとぼしいので残業代がもらえない
先ほども触れましたが、小さな自治体というのは、
- 人口が少ない
- 大企業が少ない、もしくは無い
といった理由から税収が少ないので、その分市役所全体の予算も大都市に比べるとずいぶん少なくなっています。
また、国から下りてくる予算も自治体の規模によって大きく変わります。
では財源が乏しいとどのような事が起きるかと言いますと、残業代が支給されない可能性が高いんです。
田舎の自治体というのは職員の数が少ないので、全体の仕事量は都会に比べて少ないのですが、職員1人にかかる仕事は都会よりも多い傾向にあります。
よって、小さな自治体ほど残業をしなければならないことが多いのですが、残業代の予算が少ないため、公務員にも関わらずサービス残業になることがしばしばあります。
よくツイッターなどで、「給料が少ない」「仕事がキツイ」などと元公務員や、現役の公務員の方がつぶやいていますが、そういった人の大半が、
・地域手当ゼロの自治体で働いている
・残業代がきちんと支払われない自治体で働いている
といった可能性が高いと考えられます。
④:小さな自治体は少子高齢化が深刻
日本全国少子高齢化が深刻な問題となっていますが、同じ少子高齢化でも田舎の深刻さは都会の比ではありません。
では少子高齢化が進んでいる自治体は何がまずいかと言いますと、まず働き手が少ないので自治体に落ちる税金が少ないといった問題があります。
税収が少ないと、残業代が支払われないためにサービス残業となってしまったり、予算がないのでクーラー1つまともに直してもらえないといったことが起きます。
私の地元の市の施設に用事があって行ったときの話なのですが、真夏にも関わらず会議室のクーラーが壊れていたんです。
なので担当の人に「クーラーが壊れていますよ」と伝えたところ「分かりました。直しておきます」と返事があったものの、その後3ヶ月以上経ちますがいまだに直っていません。
これは、「直さない」のではなく、予算がないから「直せない」のです。
クーラー1つ直す予算がないような自治体で働くなんてありえないですよね。
また私の経験上、市の窓口でトラブルになるのは高齢者の確率が非常に高いといった点です。
歳を取ると人間ワガママになると言いますが、まさにその通りで、窓口の職員に対して横暴な態度なのは高い確率で高齢者なんです。
なので田舎になればなるほど高齢者の割合が増えるため、仕事でストレスがかかる機会もその分多くなるでしょう。
⑤:小さな自治体は市民との距離が近い
小さな自治体で公務員として働くと、都会の公務員よりも圧倒的に市民との距離が近くなります。
というのも、町や村に役場が1つしかなかったり、田舎ほど祭りなどのイベントで職員が駆り出されます。
そこで顔を覚えられると、町のどこを歩いていても公務員だとバレてしまいます。
世の中には公務員を毛嫌いしてる嫉妬民がたくさんいるので、なるべく仕事以外では公務員という肩書きを知られずに生きていきたいですよね。
「公務員のくせに」なんてセリフはよく聞かれますからね。
なので、自身のプライベートを守るためにも、小さな自治体で働くことはあまりおすすめ出来ません。
残業や激務が嫌なら大きな自治体へ
地元というだけで小さな自治体を選ぶということは避けましょう。
激務、そして給料の少なさに嘆いている人にほど、小さな自治体の職員として働いている傾向にあります。
「自分の生まれ育った市役所で働きたい」という志望動機は立派ですが、それだけで頑張れるほど現実は甘くてありません。
給料がそこそこあり、休みも自由に取れる環境だからこその公務員だと思いませんか?
地元のためという理由だけでは、なかなか頑張ることって難しいんです。
これは私の友人の体験談になるのですが、彼は人口5万人にも満たない、地元のとある小さな自治体で公務員として働いているのですが、その労働環境はなかなかのブラックさです。
週末にはたびたび市町村のイベントがあるため休日出勤、そして予算がないためサービス残業は当たり前、しかもなかなか休めない、という状況。
思っていた公務員像と違うことから「こんなことなら公務員に転職するんじゃなかった」と言っていました。
なので彼は、職員の数も多く、規模の大きな自治体である私の職場環境の話をすると「うらやましい!」などとよく言っています。
地元愛だけでは充実した公務員ライフってなかなか送れないんです。
あなたが充実した公務員ライフを送るためにも、そのことは忘れないでくださいね。
政令指定都市もしくは特別区に入ろう
小さな自治体に入ると、以下の3重苦の可能性が高いのでおすすめしないとここまで話してきました。
- 給料が少ない
- 残業代が出ない
- 休みが取れない
では、逆に「給料が多い」「残業代がしっかり出る」「休みも取れる」には、どこの自治体に行けばいいかご存知ですか?
結論から言いますと、「特別区」もしくは「政令指定都市」です。
特別区とは東京都23区で働く職員で、自治体で働く公務員の中で最も人気があります。
特別区の何がおすすめかと言いますと、地域手当15%という、他の自治体に比べて圧倒的に給料が多い点です。
もちろん給料が多いからといって、幸せな公務員ライフを送れるとは限りませんが、少なくとも給料についての悩みは起こらないでしょう。
そして政令指定都市ですが、ここについては私が実際に働いているのでそのメリットは日々感じております。
私の自治体は特別区ほどではありませんが地域手当が10%前後支給されていますし、有給についても余程激務な部署に配属されない限りはほぼ年間20日すべて消化できます。
残業は自分に残る意思がなければさほどしなくてもいいですし、災害などで長時間残業した際でもきっちり全て残業代が支払われます。
せっかく公務員になったのにサービス残業とかありえないですよね。
どうせ働くなら給料が多くて、休みもしっかり取れる方がいいに決まってます。
なので、あなたが給料の少なさに悩み、休みが取れないのが嫌なら「特別区」もしくは「政令指定都市」を受験して公務員になることをおすすめします。
地元ではなく政令市に入庁した私の体験談
私は公務員になるまで、基本給とは別に「地域手当」というものが存在することなど全く知りませんでした。
公務員になった後に知ることになるのですが、私の地元の市役所は地域手当がゼロです。
私が働いている政令指定都市は地域手当が10%前後あるので、それだけでスタート時から給料が15000円以上違います。
このことからも「地元という理由だけで役所を選ばなくてよかった」と心の底から思いました。
労働意欲が低い私ですが、結婚してからはある程度お金が必要なので、月に20~30時間くらいは平均して残業するようになりましたが、全て残業代は出ます。
細かい話をすると、労働基準法(36協定)の絡みで月に60時間、週に20時間を超えないでくれという決まりはありますが、常識の範囲内であれば申請した残業代は全て出ます。
また、運がいいだけなのかもしれませんが、私はこれまで年休(有給休暇)を年間20日全て取得できています。
同じ市役所で働く私の友人の話では、「激務の部署に行かされるとなかなか年休は取れない」と言っていましたが、基本的に激務の部署に行かされる可能性の方が大きな自治体の場合低いでしょう。
このことからも、財政が安定している大きな自治体に入ることがどれだけ重要か分かっていただけたかと思います。
政令市や特別区合格のカギは面接試験
当ブログでは、公務員試験は年々筆記試験よりも面接試験を重視するようになってきているとしつこく解説しています。
その中でも政令指定都市や特別区はどこも希望者が多いため、試験で厳しいふるいにかけられます。
ほかの自治体は2次の面接試験が最終であることがほとんどですが、政令指定都市では2次試験と3次試験両方面接が課されることもよくあります。
なので、政令指定都市と特別区を目指す人にとっては、より一層面接対策をしなければ試験に合格することができないと言っても過言ではありません。
「面接苦手だから自信ないなぁ・・・」と受ける前から不安になってしまう人も多いかもしれません。
けど心配しないでください。
面接試験が得意!なんて人はハッキリ言っていません。
みんな誰しもが緊張し、想定していない質問をされると頭が真っ白になってしまうものです。
だから、逆に言うとしっかり面接対策の準備をしておけばかなり有利に面接試験を戦うことができます。
公務員専門学校では「面接を制する者は公務員試験を制す」ということがよく分かっているので、ノウハウを持ったプロの講師がしっかりと対策をしてくれます。
一方、独学で公務員試験の勉強をしている人は、どうしても面接試験で公務員専門学校組と差が出てしまうんです。
私自身も公務員専門学校を利用していたので、そのメリットは十分身をもって経験しました。
しかし世の中には金銭的、時間的な理由から公務員専門学校を利用できない人もたくさんいると思います。
そんな独学の人のために、本来なら受講料を払わなければ受けられない「面接試験の対策」を無料で受けられる方法について次の章で紹介しますね。
さいごに
せっかく公務員になったのに「思っていたのと違う・・・」と後悔しないようにするためにも、小さな自治体へ入ることで発生するリスクをしっかりと確認しておきましょう。
給料、そして休暇の面で後悔しないためにも、政令指定都市や特別区といった大きな財源のある自治体へ入庁して、しっかりとリスクマネージメントしてください。
「ブラック企業から脱出したい!」という思いから、一生懸命勉強して公務員になったのに労働環境が悪くてまた辞めてしまう・・・なんて事になったらもったいないですからね。
あなたが定年までイキイキと気楽に働くためにも、市役所選びはよく考えてから行いましょう!
社会人から公務員へ転職する方へ
公務員になりたい大学生に向けて
合格する人がみんなやってる自己分析